第26回 読書会「本と旅人」開催報告

2024年7月7日(日)に神田のカフェ「COLAZIONE VARIO」で26 回目の読書会を開催しました。

今回は24名の参加でした(うち、初参加は4名でした)。

今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!

本日紹介された本

小説、実用書、エッセイ、新書など、いろいろなジャンルの本が紹介されました。

以下、運営のテーブルで紹介された本の一部をご紹介します。

残穢│小野不由美

主人公の転居先で起こる怪奇現象を中心に描いたホラー小説です。

物語の随所に語り口が創作かどうかあやふやに感じる箇所もあるらしく、紹介者の方いわく、小野不由美さん自身の実体験も盛り込まれているのではとのことでした。

また、物件を取り扱ったホラーということもあり、今話題になっている『変な家』が好きな人ならこの作品も好きかもしれないとのことです。

読み進めるほど徐々に怖さが増していく構成になっているらしく、紹介された方は、
「一気読みするペースで読んでいたが、怖すぎて最後は次の日の朝に読んだ。
音や映像がなくて文章だけでここまで怖いのがすごい」
とおっしゃっていました。

痴人の愛│谷崎潤一郎

大正時代の歪な男女の関係性を描いた小説です。

一般的なサラリーマンの男が一回り以上年下の女性であるナオミと出会い、最初は「この子を大切に育てたい」という純粋な気持ちで引き取るものの、次第にその関係性が崩れていき…というストーリー。

紹介された方は、
「特殊な性的な描写もあり途中で読むのをやめたくなったが、ラスト50ページぐらい、起承転結の転の後からがすごく面白かった。
ラストは自分までナオミに引き込まれてしまいそうだった」
とおっしゃっていました。

また、巻末に掲載されている解説からも作者のぶっとんだ考え方が感じられて面白いとのことです。

ツキの正体: 運を引き寄せる技術│桜井章一

麻雀界で無敗伝説を持つ著者が、ツキを引き寄せるための心得を述べた新書です。

好きなものに熱中することや、素直になること、一点に集中せず色々な選択肢を考えてみることなど、回り回って自分自身を大切にするような行動がツキをつかむために大事なようです。

紹介者はこの本に人生のターニングポイントに出会ったようで、辛く厳しい時期あったけれどありのままの自分を受け入れて生きようと決めた自身の心境が、本の内容とリンクしてとても印象に残っているとのことでした。

また、紹介された方はこの本を読み終えてから、実生活も上向きになっていったとおっしゃっていました。

海からの贈り物│アン・モロウ・リンドバーグ 著、吉田 健一 訳

史上初の大西洋単独横断飛行を成功させたチャールズ・リンドバーグを夫にもつ筆者が、自身の体験談をつづりながら女性の幸せなどについて述べた本です。

章題に貝の名前がつけられていたり、著者の離島での生活についてもつづられていたりなど、随所に海を感じさせる内容が盛り込まれているとのことでした。

紹介された方は、中でも「日の出貝」という章の話が気に入っているらしく、「この人に愛されていると感じる瞬間が大事」という教えが心に響いたようです。

また、ととら堂という逗子の古本屋でこの本に出会ったそうで、海に近いということもあり購入を決めたそうです。

エジプト十字架の秘密│エラリー・クイーン 著、越前敏弥 佐藤桂 訳

世界的なミステリー作家エラリー・クイーンの国名シリーズの第5弾です。

T字路、頭部が切り落とされてTの字に見立てられた死体、不可解に残されたTの文字など、あらゆるところに「T」が関連する殺人を解き明かしていくというストーリー。

紹介者は、エジプトに旅行に行っていたこともあって、国名シリーズの中でもこの作品を手に取ったとのことでした。

国名シリーズには作中に「読者への挑戦状」という、ここまでの情報であなたは真相を解明できますか?といったページが設けられているそうです。

紹介された方は、
「もっと深く考えたらわかったかもしれないけれど、自分には解けなかった」
とおっしゃっていました。

社会人の教養は人、本、旅│出口治明

ライフネット生命の創業者である出口治明さんが、「文藝春秋オピニオン2018年の論点」に文芸誌に寄稿したコラムを再編集した本です。

社会人に大切なのは幅広い知識、考える力で、それらを下支えする地盤には人、本、旅が不可欠と紹介しています。

紹介された方は最近、一人で近くの居酒屋などで知らない人と話したりすることの面白さに気づき、この本を通して自分のアイデンティティは本と旅だと気づいたのだとか。

ちなみに本サークル名の「本と旅人」は、出口治明さんの言葉「人生を豊かにするのは、人に会うこと・本を読むこと・旅をすること」から名付けられています。

邪悪なものの鎮め方│内田樹

私たちの常識や倫理観が通用しない「邪悪なもの」と対峙したときの振る舞い方について論じている本です。

紹介者はこの本の中の、村上春樹さんの本の読み方に興味を惹かれて手にとったそうです。

この本によると、村上春樹さんの文章に出てくる町には老若男女が共感できるような普遍性があるようで、それが世界中の心を魅了する理由の一つなんだとか。

また、この本では翻訳についても触れられており、文豪の誤訳についても紹介されているとのことです。

ハイファに戻って/太陽の男たち│ガッサーン・カナファーニー 著、黒田寿郎 奴田原睦明 訳

紛争地帯に子供を残して別の地域に逃げてしまった父母が、20年後紛争地帯に戻り、別の家族に育てられていた子供と関わっていく様子を描いた小説です。

紹介された方は、ガザ・パレスチナ問題の知見を深めるうえでこの本がおすすめという、Xの投稿をきっかけに手に取ったそうで、「紛争問題について知らなければならないと改めて感じた。何年も続く紛争、復習の連鎖などに胸を締め付けられた」とおっしゃっていました。

また、西加奈子さんの解説も惹かれるものがあったとのことです。

本日のハイライト

運営メンバーのテーブルで、フリートーク中や本の紹介の流れで話題になったトピックを一部紹介します。

電車での読書

読書する場所の話題から、電車での読書について。

満員電車で読書できる人、できない人、電車でも読書するが物語の重要な部分は電車では読みたくない人など、電車での読書について様々な意見が見受けられました。

原作小説とメディア化映画の見る順番

メディア化された映画に対し、原作小説と映画、どっちを先に見るか問題が浮上しました。

その時の卓では偶然にも全員が「映画→本」の順番。

本の方が面白いと感じてしまう、映画は本のダイジェスト版になりがちだからなど、満足度が本の方が高いと感じることから「映画→本」の順番になるようです。

ぱくりとパロディ

ぱくられる側がそれを受容するノリ、というようなものが問題になる場合もあるという話。

例に挙げられたのは、ゆっくり解説系の動画のフォーマットが商標登録され権利問題になった話で、フォーマットは秀逸だがネットのノリが良くなかったという反応もあったのだとか。

ただ、過去のものが応用されて名作となることもあるため、ぱくりとパロディ、オマージュ、サンプリングなどの線引きは難しい…

参加された方の感想

参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!

本にちなんで、それぞれの人生経験について話が聞けて良かった。

30歳女性

初めての読書会でしたが、いろいろな方から本についての話を聞くことができてとても楽しかったです。ありがとうございました。

26歳女性

興味深いお話しをたくさん聞けて楽しかったです。

26歳男性

読書会後のランチ

いつもどおり読書会後にそのままカフェでランチをしました。

23名の方がランチに参加してくれました!

サラダに焼いたかぼちゃが合うのが驚きで、パスタもパンもいつもどおり美味でした!

いつもありがとうございます〜!