第27回 読書会「本と旅人」開催報告

2024年7月21日(日)に神田のカフェ「COLAZIONE VARIO」で27回目の読書会を開催しました。

今回は25名の参加でした(うち、初参加は9名でした)。

今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!

本日紹介された本

小説、実用書、エッセイなど、いろいろなジャンルの本が紹介されました。

以下、運営のテーブルで紹介された本の一部をご紹介します。

常識のない喫茶店 | 僕のマリ

著者が働いていた喫茶店での様子をつづったエッセイです。

その場ではなんとなくやり過ごしてしまいそうなクレーマーの厄介な行動に対し、料理を少なく盛ったり、変なあだ名をつけたりなど、できる範囲で対抗している様子が描かれています。

紹介された方はその中でも、客が無断で置いていったゴミを店の外まで追いかけて手渡しする話が特に好きなようで、
「サービス業のイメージを覆す感じがすごく好き。
間違っていることに対して間違っているとしっかり立ち向かう姿勢が素敵」
とおっしゃっていました。

紹介された方はコーヒーチェーン店で勤めていた経験もあったようで、自身に響く内容が多かったようです。

願望機 | A&B・ストルガツキイ

ストルガツキイ兄弟の名作『ストーカー』の原案が収録されているSF小説です。

様々な願いを叶える装置「願望機」の謎を描いた物語で、紹介された方は下北沢で見た演劇がきっかけで手に取ったとのことでした。

人間が無意識に思っている願いを叶えるなど、願望機が叶える願いの内容もおもしろく、紹介された方は、
「願望機がどんな願いを叶えるのか、そもそも人間の本当の願いは何なのか、非常に興味深いテーマを取り扱っている」
とおしゃっていました。

また、作中に出てくる宇宙人と地球人の関係性を通して、
「人間は理由というものを納得できるものにねじ曲げて理解しているのではないか。
人間は自身たちが思っている以上に辺りに大きな影響を及ぼしていることを暗喩的に表現していそう」
ともおっしゃっていました。

三体 | 劉 慈欣

世界中で大ヒットしている、三部作に分かれたSF長編小説です。

紹介された方はこの作品を会社の上司に進められ、読みだしたら土日を通してシリーズすべてを読み切ってしまったとのこと。

紹介された方は中でも暗黒森林編が一番好きなようで、
「資源を得るために他の惑星を見つけたら破壊しなければならない。
だから宇宙人は今まで見つけられていない」
という仮説をSFに盛り込んだ物語になっているとのことです。

須賀敦子全集 | 須賀敦子

随筆家、イタリア文学者、翻訳家として知られる須賀敦子さんのエッセイをまとめた本です。

太平洋戦争時に小学生で、大学卒業後にフランス、イタリアへと渡った筆者が、その時々の経験や感じたことをつづっています。

紹介された方も留学経験があり、筆者の経験や考え方に共感したとのこと。
特に、国境を越えて意見交換を交わす経験の大切さに深く共感したようです。

また、住み慣れた場所から去った後の孤独感について書かれている箇所について、紹介された方は、
「こんなすごい人でも私たちと同じような孤独感を抱えていることに勇気づけられた」
とおっしゃっていました。

ほんとうのことは誰にも言いたくない | ヤマシタトモコ

漫画家である著者の生い立ちに迫るインタビュー本です。

紹介された方は、見に行った美術展で感じたことが、この著者の漫画に通ずるとのことで読書会に持ってきたそうです。

共通して感じたことは「何かを慈しむ、すごく大切にしている」ことで、著者の漫画の中でも『異国日記』という作品にこのような印象を強く受けるとのこと。

紹介された方は、
「紹介した本を読んでもらいたいというより、『異国日記』をぜひ一度読んでみてもらいたい」
とおっしゃっていました。

世界の寄食の歴史:人はなぜそれを食べずにはいられなかったのか | セレン・チャリントン=ホリンズ

世界で食べられている珍しい食べ物や、そのレシピについてまとめられた本です。

紹介された方は元々食べたことのないものを食べるのが好きらしく、この本を手に取ったとのこと。

一般的にゲテモノと呼ばれるような食べ物は、最初から好き好んで食べられたわけではなく、生きるためにはそれを食べるしかなく、食べ続けられた結果それが文化になったものが多いようです。

また、この本に掲載されている食材は揃えるのが難しいらしく、レシピ通りに料理を作りたくてもなかなか作れないとのことでした。

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1) | ケン・リュウ

アメリカの小説家、翻訳家である作者の短編作品をまとめた本です。

作者は『三体』を英訳した経歴もあり、それがきっかけで紹介された方は作者を知りこの本を手に取ったとのことでした。

この短編集の中で紹介された方が一番好きな話は、表題作の『紙の動物園』らしく、
「短いページ数ですごく泣ける作品。
読み終わった跡は胸が苦しくなって、読後感がリフレインするぐらいに影響を受けてしまった」
とおっしゃっていました。

不穏な導入から物語がスタートしながらも、最後には「電車の中で読まないで、涙がとまらなくなるから」という本の帯通りの感情になったとのことでした。

まるかじりシリーズ | 東海林さだお

『週刊朝日』36年間もの間続いた著者の連載を、本にまとめたシリーズです。

このシリーズは現在40タイトル以上発売されているようで、紹介された方は持ってない巻を見つけたらその都度買ってしまうとのことでした。

話の内容はすべて食べ物にまつわるものらしく、庶民的な料理から高級フレンチまで、著者が様々な食べ物に挑戦しているとのこと。

紹介された方は、
「まず食べ物だけで1000本以上のエッセイを書けるのがすごい。
そのうえで自分にも書けそうだけど、やっぱり書くことができない絶妙な文章表現に惹かれてしまう」
とおっしゃっていました。

本日のハイライト

運営メンバーのテーブルで、フリートーク中や本の紹介の流れで話題になったトピックを一部紹介します。

自分の肌に合う国、地域とは?

留学を経験して日本よりも海外の考え方の方が腑に落ちる方もいれば、海外に行ったからこそ日本から離れたくないと強く感じている人もいました。

「同じ日本人でも自分の肌に合う国が変わるきっかけは何なのだろう?」と話を聞きながら密かに考えていました。

感性ってなに?

話の流れで不意に出てきた「感性」という言葉の定義について、唐突に議論がスタートしました。

感性とは個人の生まれ持った感覚を指すのか、成長していく過程で経験したことによって形成されていくものを指すのか、そもそも何かを経験しないと感性は形成されていかないのか…

読書会の短い時間では落とし所も見つかりませんでした。

参加された方の感想

参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!

普段周りに本好きの方がいないので、話ができてとても嬉しかったです。

女性

ランダムに色んな本を知られた、バックグラウンドの異なる人とたくさんお話しできて楽しかったです。

女性

著名な小説家の名前と作品の特徴を知ることができた

26歳男性

読書会後のランチ

いつもどおり読書会後にそのままカフェでランチをしました。

23名の方がランチに参加してくれました!

個人的にトマトとキノコのパスタがめちゃめちゃ美味しかったです!

いつもありがとうございます〜!