第9回 課題本型読書会 開催報告

2025年6月15日(日)に神田のカフェ「COLAZIONE VARIO」で課題本型の読書会を開催しました。

今回の課題本はミヒャエル・エンデの「モモ」で、19名の参加でした!

ご参加いただいた方、ありがとうございました!

今回の読書会の形式

今回は、最初に読んだ時の感想を共有した後、少人数のグループで気になるテーマについて話し合い、最後に話し合いを経た上での作品に対する感想を共有しました。

時間泥棒が登場するモモという物語が「時間とはどういうものか」や「消費社会が人の心のゆとりを圧迫する」のような認知のされ方が多いためか、時間との向き合い方に関する話題が多くあがりました。

時間の消費の話はみなさんの生活になじみ深いようで、活発に意見が交わされていました。

個人的に、貯蓄した時間はどこに行くのか。結局どこにも預けられないのでは?という部分は、現代人が倍速動画やマルチタスクをして時間を捻出するにもかかわらず、結局その時間はまたスマホ見てだらだらする時間にあてられるなら意味なくない?とか思ってしまいました。

(だから、時間の使い道を増やすために倍速するというよりかは、時間が節約されたということが快感につながる。その背景には、なんとなく忙しいという漠然とした不安だけがある感じも、モモの言ってることに使いなと思いました)

またそれとは別に、物語に出てくる風景の美しさだったり、モモや亀のカシオペイアなどのキャラクターが好き!という話もあり、いろんな着眼点があって面白いなと思いました。

そのような話題を通して、今回私はモモを「時間との向き合い方」という枠に留まって読んでいたと気づきました。

この枠があるとやっぱり楽です。ほかの枠の存在を度外視して読めば時間もかからないし、コスパよく読書できるし。

モモはいろんな人物と話していても、じっくりその人の話を聞いていて、おそらくその人に対する評価というか理解を早い段階ではしてしまわないでしょう。いろんな枠でとらえている気がします。

そう思うと、「時間との向き合い方」だけで読み理解してしまおうとする姿勢は、一番モモという存在からは遠いものだなと感じました。

あと、今回時間がなかったからオーディブルで2.2倍速視聴した、という方がいて、モモの世界観を体現してておもろすぎました。

人で読んだときは思いつきもしなかったことが話題に挙がってきたので、とても新鮮な気持ちでした。

以下、運営メンバーのテーブルで議論されたテーマの一部を紹介します。

  • 無駄を許さない生き方の苦しさ
  • モモの傾聴について
  • そもそもタイパって何?
  • モモをアニメ化するならどんなキャスト?
  • 本当の孤独とは何か?
  • モモがショート動画や倍速動画を見たらなんと言いそうか?

参加された方の感想

参加いただいた方の感想を一部掲載します。

アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!

【課題本を読んだ感想】

現代の時間というものの捉え方をファンタジーの物語で風刺していて、あたたかい物語として児童文学らしさもありつつ、大人が読んだときに考えさせられる物語だったと思った。哲学詳しかったら哲学面でもう少し深掘りできるのかもしれないと思いちょっと悔しい。

24歳女性

音や聴くことに関する表現が超越的で興味深いと思いました。今回の再読だったので『「モモ」を読む』(子安美智子)と併読し、エンデが持つ思想にも触れながら読んでみました。モモの世界を自分の外側ではなく内側にあるものとして読むと、何気ない表現が意味深なものに思えてきて奇妙な感覚になり、初読の時とは異なる感覚がありました。

28歳女性

小学生の時から大好きだったのですが、当時は単純にお話や世界観が好きでした。大人になって改めて読み返して見ると、記憶以上に教訓めいた要素が強くて驚きました。

24歳女性

【読書会を終えて、課題本について改めて感じたことは】

なぜ人の時間は花でできているのか、葉巻は何を意味しているのか、など、自分では疑問に思っていなかった着眼点の質問があるのがおもしろかったです。

28歳男性

一冊の本を語るうえで、内容だけでなく人それぞれの経験や知識を含めて、さまざまな話を聞くことが出来たのがすごくためになった。

34歳男性

周りの人との関わり方や、時間の使い方など、生きていく上の基本なことについて、見直しの機会を与えてくれる本だなと感じた。みんなに共通のテーマだから、ディスカッションしやすくて、課題本に最適だなと思った。

24歳女性

読書会後のランチ

読書会後にそのままカフェでランチをしました。

16名の方がランチに参加してくれました!

レモンの乗ったパスタを見て、夏が来たことを実感しました!

いつも美味しい料理ありがとうございます〜!