第58回 読書会「本と旅人」開催報告

2025年7月20日(日)に神田の「COLAZIONE VARIO」で58回目の読書会を開催しました。
今回は25名の参加でした(うち、初参加は5名でした)。
今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!
もくじ
本日紹介された本
小説、エッセイ、実用書など、いろいろなジャンルの本が紹介されました。

以下、運営のテーブルで紹介された本の一部をご紹介します。
マリアビートル | 伊坂 幸太郎
殺し屋がたくさん登場するミステリーアクションで、悪魔のような中学生「王子」が印象的。嫌なキャラクターですが、最後はしっかり懲らしめられてスカッとする展開です。
気弱な殺し屋が特に魅力的で、「簡単な仕事」と言われて引き受けたはずが、予想外に大変な事態に巻き込まれていく、ちょっとかわいそうなキャラです。
セリフが小耳に残るほどキレがあり、エンターテイメント性が高い一冊です。
紹介者の方は、
「嫌なキャラクターをきちんと懲らしめる展開に爽快感がある。伏線が一気に回収される瞬間は本当に鳥肌が立つ」
と語っていました。
スカッとしたい夏におすすめの伊坂作品です!
グラン・ヴァカンス | 飛 浩隆
南イタリアのリゾート地を再現した電脳空間で、AIたちが人間をもてなす設定が特徴的です。
この小説では、人間が誰も訪れなくなった後の“終わらない夏”を描いており、永遠に続くはずの楽園に異変が訪れます。
電脳空間で好き勝手に過ごす人々のアンモラルな行動、その後に訪れる「くも」による侵略、美しい夏の情景が徐々に壊れていく様子が、強い魅力を放っています。
紹介者の方は、
「永遠の夏休みの空気感が心地いいのに、壊されていく描写が逆に美しい。電脳空間での自由さにおける、人間の倫理感について考えさせられるのが面白い」
と語っていました。
美しくも不安を抱かせるSFを読みたい方におすすめです。
風の歌を聴け | 村上春樹
1970年の夏を舞台に、主人公と「ねずみ」という男の淡い日々を描いた、群像新人賞を受賞したデビュー作です。
アメリカ文学の影響を強く感じさせる書き出しは印象的で、村上春樹自身も自身の執筆時に「この作品に助けられた」と語っています。
47年前に出版されたこの小説には、明確な起承転結やエンタメ性はなく、読み終わった感想として「正直よくわからない」という人も多い作品です。
それでも、あの日の風がものうく、ほろ苦く通りすぎていくような感覚を残し、読む人の記憶に刻まれます。
紹介者の方は、
「村上春樹を初めて読むなら『ノルウェイの森』がおすすめだけど、初期作品を知るならこの本がいい。英語に翻訳された経緯もあって、彼の文学の原点を感じられる」
と語っていました。
村上春樹の初期作品を味わいたい方におすすめの一冊です。
スタンドバイミー | スティーヴン・キング
1960年代のアメリカを舞台に、小学生4人が「死体探し」に出かける物語です。
線路を歩く姿や、それぞれが譲れないものを抱えた少年たちのやり取りには、少年期特有のロマンと不器用さが詰まっています。
物語は、大人になった語り手があの夏を振り返る形で進みます。
仲良しのままでは終わらなかった友人関係や、夏休みの終わりに感じる切なさが印象的で、強いノスタルジーを呼び起こします。
『IT』や『シャイニング』など不気味なホラーで知られるキングですが、この作品はまったく違うテイストで、むしろ「少年時代の一瞬」を愛おしく描いた一作です。
紹介者の方は、
「少年っぽい冒険心や切なさが詰まっていて、読み終わると少し胸が痛くなる。夏休みの終わりに似合う作品」
と語っていました。
ノスタルジーを感じたいときにおすすめの一冊です。
参加された方の感想
参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!
テーマが夏でも様々な本があって面白かったです!
25歳女性
皆さんの本の紹介が素晴らしくお上手で、感動しました。
26歳女性
ちょうど季節が夏なので紹介された本が読みたくなりました。紹介された本で好みのものが多かったです。
24歳女性
読書会後のランチ

いつもどおり読書会後は、そのままKAITEKI CAFEでランチをしました。
今日は珍しくカレーと白米がありました!が、一瞬で売り切れていました!
いつも美味しい料理ありがとうございます〜