第48回 読書会「本と旅人」開催報告

2025年3月30日(日)に品川の「cafe&barととのう」で48回目の読書会を開催しました。

今回は39名の参加でした(うち、初参加は14名でした)。

今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!

本日紹介された本

小説、エッセイ、実用書、漫画など、いろいろなジャンルの本が紹介されました。

以下、運営のテーブルで紹介された本の一部をご紹介します。

透明な夜の香り | 千早茜

洋館でアルバイトする主人公と、そこで働く調香師のお話です。

とても鼻が利く調香師と関わっていくうちに、調香師の深い孤独に近づいてくようです。

人の雰囲気だったり、人がついた嘘すら臭いで感じ取ってしまうような力があるようで、それゆえの生きにくさも描かれているようです。

また、香りに対する細かいディティールや、化学物質などどのような成分がにおいに含まれているかも記載されていて、香りに興味を持ってしまったとのこと。

小説全体のトーンは静謐としていたようで、雰囲気含め気に入ったようです。

香りってどうしようもなくイメージや記憶を想起させてしまうものだと思います。そんな香りがテーマの小説、気になっております。

夢をかなえるゾウ | 水野敬也

「人生を変えよう」とするも三日坊主で終わってしまうサラリーマンの主人公。

ある日急に現れたゾウの「ガネーシャ」と、人生の中でやりたいことを探していく本です。

自己啓発のような内容ですが、形式が少し変わっているようで面白かったとのこと。

作品内で登場した格言が巻末に紹介されていて、それを読むだけでもためになりそうでした。

啓発的な内容がたくさん出てきますが、最後に

「これを全部できなくてもいい。毎日すべてをやりきるのは大変。ちょっとくらい欠けてしまうのが人間じゃん。」

といった人間らしさの肯定があり、この構造に心地よさを覚えたようです。

二十億光年の孤独 | 谷川俊太郎

谷川俊太郎の処女詩集。

紹介者は詩に興味を持ち、まずは谷川俊太郎の作品に触れたいと思い手に取ったようです。

この詩を読んで、

「日本語にはひらがな、カタカナ、漢字があり、どの文字が使われるかで受け取る印象がまるで異なる」だったり、

「自分の気持ちを一言で表現しようと思っても、言葉にすることでそぎ落とされてしまうもの多すぎる。」

「「分かる」という言葉で共感してくれるような場面は多いが、自分の気持ちを「分かる」という言葉で単純に片付けてほしくない」

といったような内容まで飛躍して話されていて、楽しかったです。

言ってるそばからという感じですが、紹介者の言いたいことは非常に「分かる」なと思ってしまいました。

あまりにも言語圏が近すぎるなと思っていたら、2人とも共通してpodcastを聞いていました。

言葉そのものに興味がある人、おすすめです。

奇奇怪怪 | Podcast on Spotify

成長を支援するということ | リチャード・ボヤツィス 他

成長を願う相手の情熱やビジョンを呼び起こし、相手の変化を支援するための理論と実践の本です。

会社などで人を支援するとき、どうしても自分や会社全体の都合のいいような「誘導型」のコーチングになっていないか。

大事なのはいかに相手の情熱を引き出すかだ、という内容があり、興味深かったとのことです。

会社でもどうしてもそういうムードがある中で、どうやって人を支えていくかということの一助になるような本だったみたいです。

個人的に、紹介者の方は人の話を聞くのがとても上手で、受け答えのリズムがとても心地よいと感じました。

まさに人から何かを引き出す人間だ!と強く感じたので、そんな人がこの本を紹介していて、よさが十二分に伝わっていた気がします。

その人のニンにあった本が、その人らしく紹介されるのを見ると、めっちゃいいよなと感動しちゃいます。

本日のハイライト

運営メンバーのテーブルで、フリートーク中や本の紹介の流れで話題になったトピックなどを一部紹介します。

短歌はゆっくり沁みる

短歌が紹介された際、「短歌はその情景だとか心情がゆっくり心の中で生まれる」という話がありました。

タイパ至上主義の世の中では、最短で知りたい情報にたどり着けるものが多いと思います。

一方で短歌は言葉一つ一つをゆっくり咀嚼して、自分の中に落としこむ。

この過程が大事なんじゃないかという話があって、激しく同意しました。

その時代を追体験する

グレートギャッツビーの紹介があり、その中で「昔の話を描いた小説を読むことで、その時代を主人公とともに覗くことができる」

という話になりました。

ただ事実を情報として受け取るのではなく、創作された物語の中に入り込むことで味わうことができる良さがあるなと思いました。

創作された物語の中には、「あったこと」でなく「ありえたこと」の可能性の幅が埋め込まれているなと思うと、小説ってやっぱいいなと思いました。

参加された方の感想

参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!

いろんな人のおすすめを聞けてとても楽しかったです!

27歳男性

読みたい本がたくさん見つかったのはもちろんですが、他の方の言語化能力が高く、非常に勉強にもなりました。

26歳女性

和やかな雰囲気で楽しく参加できました。

29歳女性

読書会後のランチ

読書会後はそのまま「cafe&barととのう」でランチをいただきました。

19名の方がランチに参加してくれました!

瑞々しくておいしいサラダをここぞとばかりに食べました!

いつもありがとうございます!