第31回 読書会「本と旅人」開催報告
2024年9月22日(日)に神田のカフェ「COLAZIONE VARIO」で31回目の読書会を開催しました。
今回は26名の参加でした(うち、初参加は4名でした)。
今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!
もくじ
本日紹介された本
小説、実用書、ノンフィクションなど、いろいろなジャンルの本が紹介されました。
以下、運営のテーブルで紹介された本の一部をご紹介します。
うえから京都 │ 篠 友子
日本の経済を救うべく、首都を東京から京都に戻そうと京都・大阪・兵庫の三府県が手を組み奮闘する物語。
紹介者曰く、主人公が様々な問題をスパスパと気持ちよく解決していく様子が読んでいて爽快感があり、さくっと読めるおすすめの作品だそうです。
また、関西人情や関西地方の地域間の関係性、特色の差などが面白く描かれているのも魅力のようです。
ただし誇張されている箇所も多いため、読む際は鵜呑みにしすぎないでとのことでした。
聞き手としては紹介者の関西弁での紹介も相まって、本や地元に対する愛を感じられました。
生を祝う │ 李琴峰
胎児が生れ落ちる環境に納得しないと出産に至らない、合意出産制度が確立されている世界線での物語。
台湾出身の作者が日本語で執筆した作品です。
紹介者曰く、安楽死の権利についても様々な議論がなされているこのご時世、将来的にまったくあり得ない話ではないと感じたとのことです。
また、合意出産制度によって発行される同意書の存在によって、現代社会にはない作中特有の価値観も物語の随所にみられるようで、未来の生死感について深く考えさせられそうと紹介を聞いていて感じました。
spring │ 恩田 陸
バレーの天才とうたわれた主人公の人となりや、振付師になるまでのいきさつを、様々な人の視点から描いた小説。
紹介者は、恩田陸さんの小説は気になっていたものの読んだことはなく、表紙が気になったこの作品から手に取ってみたとおっしゃっていました。
バレーの表現という言葉に落とし込みづらい部分をうまく言語化しているようで、バレーを学んでいたという紹介者の方から見ても、「作者自身がバレーやダンスに携わっていたのではと感じるほど、リアリティのある描写だった」とのことです。
また、バレーに詳しくない方であっても読みやすくおすすめの作品とのことでした。
レペゼン母 │ 宇野 碧
義理の娘の代わりにラップバトルに出ることになった母親が主人公の小説。
紹介者曰く、作中で母親とその息子がラップバトルをする場面で、ラップバトルという形式の中で母と息子が真剣に向き合って対話する場面がとても感動的で思わず号泣してしまったとのこと。
ラップバトルの様子はバトルを文字起こししたような形式で表現されており、読んでいると心地よく、リズムに乗っているような気分になるそうです。
また、地の文の表現もきれいな箇所が多いようで、あらゆる角度から楽しめる小説とのことでした。
アダムとイヴの日記 │ マーク・トウェイン
ユダヤの創世記について、アダムとイヴ視点で描いたらどうなるのかを、作者が創作した日記形式の作品。
紹介者曰く、同じ物事でもアダムとイヴで捉え方が異なるのが面白く、男女のことをデフォルメして描いているように感じたとのこと。
また、子供や火のような、私たちなら知っていて当たり前のものを、アダムとイヴが初めて見た時の描写も興味深いようで、知識ゼロの状態で見れば確かにそのように見えるのかもしれないという表現だったようです。
なお、この作品は作者の妻が亡くなったことが影響で書かれた本と言われているようで、イヴの日記から作者の妻に対する愛情を感じられるのも素敵とのことでした。
目の見えない人は世界をどう見ているのか │ 伊藤 亜紗
目の見えない人が世界をどう認識し、表現しているかを、実際にインタビューしてまとめた本。
紹介者の方は絵本作家のヨシタケシンスケさんが好きで、この本は彼の著作から影響を受けて書かれたそうなので手にとってみたとのこと。
本書によると、目の見えない人は見える人と異なり、空間を三次元的に知覚しているわけではないそうです。
また、視力が使えないからといって、全員が全員視覚以外の五感が研ぎ澄まされていくわけでもないとのこと。
時をかけるゆとり │ 朝井 リョウ
著者の社会人生活について綴られたエッセイ集。
思わず吹き出してしまうようなユーモアにあふれた文章がだくさんあるようで、紹介者は他の朝井リョウさんの作品を読んで本書とのギャップに驚いたそうです。
紹介者曰く、心の中を表した表現が特に面白いとのこと。また、自虐的な内容も多いようで、自分のことを下に見てしまうような謙虚さも素敵だと思ったそうです。
また、本書には著者自身の年表も掲載されているようで、それもまた表現が秀逸で面白いとのことでした。
クラウドコレクター: 雲をつかむような話 │ クラフトエヴィング商会
祖父が残した不思議な国の冒険記から、様々な物語が始まるファンタジー小説。
記憶と忘却がテーマになっているようで、センチメンタルな表現を味わいながら、フィクションとノンフィクションが混ざり合っていくような不思議な感覚も体験できるとのことでした。
また作中には、面白い設定をもつ架空のお酒が多々登場し、それらのお酒のラベルも挿絵として楽しめるそうです。
実際に物語に出てくるお酒など、様々なものを展示した企画展も行われていたようで、紹介者もタイミングが合えば行きたかったとのことでした。
本日のハイライト
運営メンバーのテーブルで、フリートーク中や本の紹介の流れで話題になったトピックを一部紹介します。
上下巻のそろえ方、読み方
上下巻に分かれている本をどのようにそろえるかという話。
図書館で借りて読んでみて面白かったらそろえる、とりあえず上巻だけ買ってそれが面白かったら下巻も買うなど、人によってそろえ方が意外と様々ありました。
上下巻を買ってそれらを読み終えるのには、やはりそれなりのお金と時間がかかってしまうので、上下巻に手を出すのは慎重にならざるを得ませんよね…
著者のイメージについて
本を読んである程度持っていた著者へのイメージが、ラジオやテレビ番組などでみて、そのギャップに驚くことがあるという話。
読書会中では、朝井リョウさんの『正欲』のような作品からイメージと、ラジオでの物腰柔らかさのギャップが話題にあがりました。
ちなみに私は、『教団X』などで知られる中村文則さんの、作風の暗さと本人の明るさの落差に度肝を抜いたことがあります。
参加された方の感想
参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!
知らないジャンルや気になっていた本のあらすじを聞けたりして面白かったです!
33歳女性
その方なりの解釈や感想を聞いて、読んだことのある本の別の見方を知ることができて面白かったです。
26歳女性
気になっていたが購入には至らなかった本の紹介を聞けたことで、読む決心がつきました。
23歳女性
読書会後のランチ
いつもどおり読書会後にそのままカフェでランチをしました。
22名の方がランチに参加してくれました!
今回のランチは普段とは一風変わって、ご飯ものや唐揚げなどがっつりした料理をいただきました!
味はいつものようにとても美味しかったです!
いつもありがとうございます〜!