第18回 読書会「本と旅人」開催報告

2024年3月24日(日)に神田のカフェ「COLAZIONE VARIO」で18回目の読書会を開催しました。

今回は19名の参加でした(うち、初参加は6名でした)。

今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!

本日紹介された本

小説、新書、実用書など、色々なジャンルの本が紹介されました。

以下は私(主催者)のテーブルで紹介された本の一部です。

駅物語 | 朱野 帰子

「わたし、定時で帰ります。」の著者、朱野帰子さんの小説です。
東京駅に勤務することになった主人公が、東京駅での仕事を通して成長していくストーリーです。

紹介された方は、

「キラキラした仕事の話ではなく、それぞれの人の内面や黒い部分を描いている。
自分の心との折り合いをつけて、仕事に対する向き合い方を考えさせてくれる作品」

とおっしゃっていました。

日本では電車は時刻通りに走って当たり前の感覚があるので、駅の仕事ってお客さんからあまり感謝されにくいイメージがありますよね。

あのころはフリードリヒがいた | ハンス・ペーター・リヒター

ホロコーストについて扱った児童書です。
主人公の僕は、ユダヤ人を迫害する側の人間で、ユダヤ人の友人であるフリードリヒが徐々に迫害されていく状況について書かれた本です。

紹介された方は、

「この作品はフリードリヒの感情だけでなく、僕の感情すら書かれていない。
事実に対してどう感じて解釈するかを読者に委ねる作品で、私自身はもやもやが残る作品だった」

とおっしゃってました。

著者の主張が明快に書かれた本と解釈を読者に委ねる本、どちらもそれぞれの面白さがありますよね。

老人と海 | ヘミングウェイ

有名なハードボイルド系の海外小説です。

漁師である老人の主人公がキューバの海沿いですごい大きいカジキを持ち帰えろうと奮闘する話です。

紹介された方は、

「孤独な老人を描いているシーンが多いのが印象的だった。
自分の人生に対して一発逆転を語るシーンなどがあり、いつもの日常の中にある寂しさが描いている気がする。
年取ってから読むと、一層老人の心情が理解できそう」

とおっしゃってました。

薄い本なので、読みやすいのもいいですよね。

黄色い家 | 川上未映子

主人公が捕まる描写から始まる犯罪小説です。

丹念な取材に基づいているようで、細部がとてもリアルに書かれている作品です。

紹介された方は、

「貧乏視点の描写がとてもリアルで、著者も貧乏だったんじゃないかと思う。
ただ、主人公の犯罪への過程が綺麗に描かれすぎていて、そこだけ唯一気に食わない」

とおっしゃっていました。

表紙が凝っていて、とても印象的な小説です。

最後の音楽 | 荘子it

なぜラッパーはかっこいいのかということについて書かれた本です。

ラップは音楽の王道からずれた部分を多く扱っているのが、かっこよさの理由の一つのようです。

紹介された方は、

「映画や政治や音楽以外のいろんなジャンルを取り込んで、発散していくのがラップの特徴。
自由な解釈でこじつけをすることができるのが楽しい」

とおっしゃってました。

最後の晩餐をモチーフにしている表紙が、とても特徴的で面白いですね。

働きたくないイタチと言葉がわかるロボット | 川添愛

言語学者の著者が書いた、イタチが主人公の作品です。

働きたくないイタチたちが、自分たちでロボットを作ろうと奮闘する物語の本です。

紹介された方は、

「言葉がわかるとはどういうことなのかや、機械が言葉を理解するとはどういうことかがわかる。
それと、なんで主人公たちがイタチなのかも最後まで読めばわかる」

とおっしゃってました。

三体 | 劉 慈欣

説明不要の中国のSF小説で、世界で2900万部売れているベストセラーです。

最近ネットフリックスでも映像化されたみたいですね。

紹介された方は、

「めちゃくちゃ面白いので、何でも良いからとにかく読んでほしい」

とおっしゃってました。

私もまだ読んでいないのですが、課題本にして強制的に読むようにしようか考え中です。(笑)

アンソーシャルディスタンス | 金原 ひとみ

金原ひとみさんの恋愛短編集です。

ストロングゼロや、整形、性欲、激辛料理など、なにかに依存してどんどん深みにハマっていく女性たちを描いた、一人称小説です。

紹介された方は、

「ヘビーでリアルでとてもカロリーが高い小説。
病んでるメンヘラからの長文を読まされているような作品」

とおっしゃってました。

読んでいて息苦しくなるような小説が好きな人におすすめのようです。

参加された方の感想

参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!

本日も例の如く、会場には潤いが充満していた。前回と異なり、店の入り口のみの加湿器しか稼働していなかったが、全く問題なかった。日に日に大気の乾燥が遠ざかっているのを感じます。これだけ喋りあっても、喉が渇くなと思う機会がほぼなかった。
ここに来ると、「潤い」中毒になるのではないかと思う時がしばしばあります。これは身体的なものだけでなく、心理的なものも示しているのでしょうか。読書会は、東京に住む孤独で乾燥している自分の心を、本、そして本が好きな人たちと触れ合うことで潤してくれている気がします。僕はもう、この潤いを失うと内から崩壊し、朽ち骸と化してしまうのではないかと心配しています。

男性(年齢不詳)

同じ本を読んだ人でも全然違う感想を抱いてることがわかって、話していてすごく興味深かったです。

29歳女性

本を知るだけでなく、他の方の紹介方法を拝見することでコミュニケーションの勉強にもなりました。
明るい雰囲気の読書会でとても楽しかったです。

29歳女性

読書会後のランチ

読書会後にそのままカフェでランチをしました。

17名の方がランチにも参加してくれました。

いろんな種類のパンを用意してくださり、とても美味しかったです!!!
(再び写真を撮るのを忘れてしまいました、、、)