第69回 読書会「本と旅人」開催報告

2025年10月19日(日)に飯田橋の「ニクバルクオン」で69回目の読書会を開催しました。
今回は38名の参加でした(うち、初参加は8名でした)。
今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!
もくじ
本日紹介された本
小説、日記、エッセイ、実用書など、いろいろなジャンルの本が紹介されました。

以下、運営のテーブルで紹介された本の一部をご紹介します。
流しのしたの骨│江國 香織
紹介者の方は、日向坂46の子がおすすめしていたことがきっかけで読んだそうです。これまで江國さんの作品はセンター試験問題として有名な「デューク」くらいしか読んだことがなかったそうですが、本作品で、何も起こらないけど美しい、という小説の醍醐味を感じたとのことでした。
何気ない日常を描いた小説なので大きな出来事が起こるわけではないが、ゆったりした雰囲気に浸ることができ、綺麗な絵やいい映画を観た後のうっとりするような気持ちになると仰っていました。
穏やかなお話なのにタイトルが少し不穏なところもお気に入りだそう。周りから見たら幸福そうに見える人や家庭でも、流しのしたのように人から見えない部分で、孤独だったり悩みだったりがあるということをタイトルの一言で表していて好き、とのことでした。
江國さんの小説は読書会でもよく紹介されるのですが、こちらの作品は知らなかったのでとても読みたくなりました!
日々是好日│森下 典子
著者が大学生の頃から25年間にわたって綴ったエッセイ。
紹介者の方は、この本にお茶菓子などの和菓子が出てくる影響で、茶道を始めたそうです。
紹介者の方が社会人になりたての頃に本書を読んで著者と悩みが重なり親近感が湧いたそう。夜勤など仕事が忙しい時には、この本を読むことで心が落ち着いたそうで、今でも寝る前などに何度も読み返している、人生を支えてくれたバイブル本だと仰っていました。
この本を読んでから、長い目で俯瞰して見ると今を生きることの大切さを知ることができたり、周囲と比べて焦ってしまうことが解消されたとのことです。映画版も良かったとのことでした!
一人称単数│村上 春樹
最近村上春樹作品を沢山読んでいるという方が紹介してくれました。
どのお話も一人称視点で書かれた短編集で、村上春樹の私小説っぽさもあるとのことです。71歳の時に執筆された作品だからか、全編を通して昔を懐かしむような作品になっているそうです。
急に猿が喋り始めるなど、現実の中に幻が急に入り込んでくるのに、その現実と幻の境目が自然すぎて違和感がないところに文章の上手さを感じるそう。
村上春樹作品では、過去作品から通してよく出てくるモチーフがあったりするので、既存作品を知っている人の方が楽しめる構造になっているため、本書は大体の村上春樹作品を読み終えた人に特に読んでほしい、と仰っていました。
とても読みたくなったのですが、その前に他の作品を読まなければと思いました。ちなみに、村上春樹初心者の方には『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』がおすすめとのことでした。
なぜ働いていると本が読めなくなるのか│三宅 香帆
紹介者の方は高校まで本を読めていたのに、しばらく本が読めていない、このままでは考えているようで何も考えていない人間になってしまうと思い、本書を読んだそうです。ちなみに、読書からは離れていましたが、YouTubeでこの本の存在を知ったことがきっかけで手に取ったそうです。
仕事以外の時間を文化という表現をしていたことが心に残っているそうで、本を読めていない当時の自分が文化の時間に何をしているかと考えた時に、文化の時間をとても疎かにしているし何も大事にできていない、と感じたそうです。
それまでは仕事のために文化の時間を削っていたつもりだったけれど、文化の時間を大事にするということは、自分の仕事を潤滑に進めていくために必要なことだと思えたそうです。
紹介者の方がこの本をきっかけにまた本を読むようになったら、生きることがしんどくなくなり楽になったので、自分にとってはカウンセリングのような本だと仰っていたことが印象に残りました。
本日のハイライト
運営メンバーのテーブルで、フリートーク中や本の紹介の流れで話題になったトピックなどを一部紹介します。
ブックカバーする派?しない派?
ブックカバーをつけてる参加者がいたことがきっかけで、ブックカバーはどこで買うか、そもそもブックカバーは必要派か要らない派か、という話になりました。
私はファッションの一部としても可愛いしテンションが上がる、そして何より本が物理的に守られるので、ブックカバー愛好家です。
ですが、本はぼろぼろになるまで読むことがその本への愛の証だと思うのでブックカバーはつけない派だと仰っていた方がいて、それもかっこいいなあと思ってしまいました。
映画やアニメの話
映画が好き、という方の話から、普段映画やアニメは観るか?という話題になりました。
映画では、最近映画館で観たウェスアンダーソン監督の最新作『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』が良かったとのことでした。私も『グランド・ブダペスト・ホテル』が大好きなので、これは観に行かねば!と良い情報が聞けて嬉しかったです。
アニメ関係のお仕事をされている方も同じテーブルにいたため、アニメについての制作側からのお話なども聞けたことが興味深く楽しかったです。
参加された方の感想
参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!
普段知ることがない本に出会えて楽しかったです。
25歳女性
他の人の本を選ぶ目がすごいなと思いました。
29歳女性
初めて参加しましたが知らない面白そうな本をたくさん知れて良かったです。
30歳男性
読書会後のランチ

読書会後は、そのままニクバルクオンでランチをしました。
31名の方に参加していただきました。
パスタとピザがとっても美味しかったです!
壁にかかっているポスターなど内装も可愛いお店で、読書会中から個人的に気分が上がる会場でした。
ありがとうございました!!