第72回 読書会「本と旅人」開催報告

2025年11月16日(日)に神田のカフェ「COLAZIONE VARIO」で第72回目の読書会を開催しました。

「SF」をテーマして、各々が考えるSFの物語を持ち寄ってもらいました!

今回は26名の参加でした(うち、初参加は3名でした)。

今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました!

本日紹介された本

小説、エッセイ、実用書など、いろいろなジャンルの本が紹介されました。

以下、運営のテーブルで紹介された本の一部をご紹介します。

白い服の男│星新一

SFをベースに、社会風刺やディストピア的な世界観が描かれた、星新一のショートショート集です。

表題作の「白い服の男」は、核戦争後の世界を平和に管理するための監視社会、プロパガンダについての物語です。

平和を保つために過去の戦争をなかったことにする歴史修正が行われているようで、例えば「せ」という1文字でさえ、「戦争」のイメージを持つため、浄化されてしまうようです。

紹介者はこのような世界観が気に入ったようですが、他にも「時の渦」という時間をテーマにした短編も面白かったそうです!

宇宙大将軍侯景SFアンソロジー│十三不塔 ほか

南北朝時代の中国に存在した稀代の大将軍「侯景」を元にしたアンソロジー集です。

「宇宙代将軍」という称号を名乗っていたようで、彼に関する物語を15人の著者がしるしています。

さまざまな戦いが描かれており、挙句の果てにはカードバトルまで出てくるようです。

宇宙大将軍 侯景がさまざまなフィクションとして描かれ結末も自由自在なため、映画に出てくるヒトラーのような立ち位置だなと思いました。

また、カバー無しの装丁で、直接表紙に施されたデザインがめちゃくちゃかっこよかったです。

ちなみに、この本は他参加者とかぶっており、「こんな小説でかぶることができるのか...」と驚いたそうです。

息吹│テッド・チャン

ほんたびでも何回か紹介されたことのある名作、テッド・チャンの短編集です。

AI、自我、人間とは何かを考えさせるようなテーマが多いようです。

紹介者は時間をテーマにした「商人と錬金術師の門」という短編が好きなようで、時間とはどういうものであるかを感がさせられたそうです。

また、テッド・チャンはまだ2冊しか本を出していないらしく、もっと出してほしい、、とのことでした。

祈りの海│グレッグ・イーガン

こちらも短編集で、宇宙が舞台!のような壮大なスケールの話というよりかは、宗教信仰と科学の対立であったり、倫理について深堀がしたくなる哲学的なテーマが取り上げられています。

紹介者は特に、「繭」という短編が気に入ったそうで、この短編集全体の通奏低音にもなっている生物学や生命倫理について考えさせらるような内容がたくさんあって面白かったそうです。

ちなみに私はこの中の「貸金庫」という短編が一番好きでした!

本日のハイライト

運営メンバーのテーブルで、フリートーク中や本の紹介の流れで話題になったトピックなどを一部紹介します。

SFのスケール

SFといえば話題の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」や、もっといえばスターウォーズなど宇宙を舞台にした壮大な物語が多いイメージもありますが、わりと内面的で哲学させらるような、個人的な小説が好き、という話がありました。

私もどちらかというと、後者のようなひたすら内向きに考えが膨らんでしまうような小説が好きなので、意外とそういう本が多くて、積読が豊作でした。

ディティールの魅力

紹介者の中には漫画を持ってきている方もおり、物語についてだけでなく、作中に出てくるギミックの細部が緻密に描かれていてやばい!という目線もありました。

確かに言われてみれば、この現実にはないデザインが見れるのものSF(漫画、映画、画集)の魅力ですよね。

そう思うと、映画が題材の画集とかを持ってきてもよかったなと公開しております...

参加された方の感想

参加後の感想を一部掲載します。
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました!

SFのイメージが凝り固まっていたかもしれないと世界が広がるきっかけとなりました。

31歳女性

自分が知らない本を知ることができ、今後読みたい本を見つけることができたから。

26歳女性

SFに特化した読書会だったが、知らない作品を色々知ることができたので。

27歳男性

読書会後のランチ

いつもどおり読書会後は、そのままCOLAZIONE VARIOでランチを。

21名の方に参加していただきました。

濃厚なデミグラスソースがかかったドリア、ばくばく食べてしまいました!

いつも美味しい料理ありがとうございます!